第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》脳の機能再編成-機能画像の知見から-―座長/出江 紳一・長田 乾
失語症の回復と機能画像所見
三村 將
1
,
小嶋 知幸
2
1昭和大学医学部精神医学教室
2市川高次脳機能障害相談室
pp.34-40
発行日 2009年1月18日
Published Date 2009/1/18
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はじめに
―失語症の回復と左右半球―
失語症の回復に関する脳内機序としては,もともと脳損傷例の神経心理学的研究を通じて,言語システムに関する2つの機能再編が想定されてきた.1つは左半球損傷部位周辺の部分的機能回復ないし再編(左半球仮説)であり,もう1つは対側の右半球内における言語野相同部位の活性化(右半球仮説)である1,2).この2つの機能再編仮説はその後,失語症患者を対象としたさまざまな脳機能画像研究により精力的に検討されてきた.一見相反するようにみえる左半球仮説と右半球仮説は,いずれか一方が正しいというのではなく,おそらくは両者が相補的に関与している可能性が高い.以下,本稿では,われわれが成人例,小児例に実施した安静時の脳血流single photon emission computed tomography(SPECT)により得られた知見を中心に,最近のpositron emission tomography(PET)やfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)といった賦活機能画像研究にもとづく知見を加味して,失語症の回復と脳機能画像所見について概説する.
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