第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》脳の機能再編成-機能画像の知見から-―座長/出江 紳一・長田 乾
失語症の回復と機能再編
安保 雅博
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1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.32-34
発行日 2009年1月18日
Published Date 2009/1/18
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はじめに
失語症の治療において,①体力を消耗するので,様子を見ながら,できるだけ毎日繰り返す.②教えるのではなく,あくまでも訓練を助ける.③他患者と比較することは避ける.④成果は変動性がある.⑤話し方はできるだけゆっくり短く区切る.また何度も繰り返す.短い言葉から少しずつ長くする.具体的な言葉から抽象的な言葉にしていく.ステレオタイプにやってはいけない.⑥状況や場面や写真・実物など利用する.⑦患者の職業や知識レベルや趣味などにより,患者ごとの高頻度語を選ぶ必要がある.⑧残されたさまざまな感覚を利用する.以上の8つの基本的概念,アプローチは大切である.
いろいろな失語症の訓練法などあるが,自然回復,心理的支持として否定的観点も強く,①言語は全人格的な機能であること.②失語症そのものが多様であること.③倫理上の問題もあり厳格な対照研究が難しいこと.④急性期は回復の通過時期でもあり,自然回復や失語症タイプの移行があり本質的問題点がつかみにくいこと.⑤訓練外で言語の無刺激ではないことなどにより,それぞれの治療プログラムの効果についても客観的な解明は難しい.
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