第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》脳の機能再編成-機能画像の知見から-―座長/出江 紳一・長田 乾
随意運動の機能回復―機能的MRIの知見―
加藤 宏之
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1国際医療福祉大学病院神経内科
pp.17-21
発行日 2009年1月18日
Published Date 2009/1/18
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はじめに
脳卒中によって発症した片麻痺は,通常,急性期から回復期にかけて何らかの機能回復が認められることが多い.脳卒中後の片麻痺の回復の良し悪しは,臨床病型や病巣の部位と大きさによって大きく異なる.脳卒中発症時の片麻痺が軽度であれば機能回復も良好であるが,発症時に高度の片麻痺があっても麻痺の回復が良好であることも稀ではない.
近年,functional magnetic resonance imaging(fMRI),positron emission tomography(PET),near-infrared spectroscopy(NIRS)などの脳機能イメージング法の開発により,急性期から回復期の脳卒中患者の脳機能を非侵襲的に画像化することができるようになった.fMRIは,臨床用のMRIスキャナーとstatistical parametric mapping(SPM)などの画像処理ソフトを用いて,比較的容易に運動タスク負荷時の脳活動を画像化することができる.これにより,脳卒中による脳の局所的な傷害や損傷に対し,脳がどのように応答し変化するかを知ることができるようになった.
fMRIを用いて脳卒中患者の麻痺肢運動時に活性化される脳領域を画像化することにより,脳卒中後に見られる片麻痺の回復が,どのような脳の構造的,機能的変化によってもたらされたのかを推察することができる.脳卒中後の運動機能回復に関わる脳内機序は不明の点も多いが,脳は損傷に応答して可塑性を発揮し,構造と機能を変化させ,大脳皮質運動ネットワークを再構築することにより,運動機能の回復に結びつけると考えられるようになった1,2).
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