第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《パネルディスカッション》リハビリテーション難渋例の実践検討1―高次脳機能障害―座長/原 寛美・本田 哲三
感情失禁と依存退行性が著明であった脳外傷1例
山里 道彦
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1筑波記念病院精神科
pp.784-788
発行日 2008年12月18日
Published Date 2008/12/18
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背景
頭部外傷では,さまざまな後遺症がみられる.精神医学的な視点からは,1)自律神経機能障害を中心とする症状(頭痛,めまい,しびれ,睡眠障害,集中困難,易疲労性),2)知的機能の障害(失語,失行,失認,記銘力障害),3)性格変化,4)統合失調症に類似した症状(幻覚・妄想),5)外傷性てんかん,6)外傷神経症が挙げられる1).中でも,失語,失行,失認,記銘力障害などの知的機能の障害や性格変化,また幻覚・妄想などの統合失調症に類似した症状は,学術的な意味での高次脳機能障害に相当している.
これらの中で,性格の変化は,社会的行動障害を引き起こす原因となるが,この障害について,駒澤ら2)は「社会生活を適応的に送っていく上で問題となる情動・行動面の障害」と定義している.中島3)は,「社会的行動障害」を,高次脳機能障害の一つとして位置づけ,その具体的症状としてa)依存・退行性(児戯性),b)欲求コントロール低下(脱抑制,浪費),c)感情コントロール低下(興奮,感情失禁),d)対人技能の拙劣,e)固執性,f)意欲低下,抑うつなどの6項目を挙げている.
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