第2回 リハビリテーション科専門医会 学術集会/札幌 《シンポジウム》脳性麻痺の訓練治療のあり方-ガイドライン委員会の報告を踏まえて-
評価尺度の使用指針について
近藤 和泉
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1藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所リハビリテーション研究部門
pp.582-587
発行日 2008年9月18日
Published Date 2008/9/18
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はじめに
脳性麻痺に対する治療的なアプローチの最近の大きな変化の一つとして,様々な評価尺度を使用することによって,徐々にではあるがそのエビデンスが積み上げられつつあることが挙げられる,評価尺度はその用途,すなわち重症度の決定,予後の予測および治療効果の判定などの用途に応じての使用が勧められている.用途別の尺度を状況に応じて使い分けることが,各治療法のエビデンスを効果的に集積する上で重要な鍵となる.このためもあって,今回の脳性麻痺に対する治療ガイドラインの策定作業の中に,推奨評価尺度に対する検討を含めることになっている.
また,脳性麻痺とは胎生期・周産期を中心とした脳の障害に起因する運動障害であり,脳の病変自体は非進行性であるとされてきた.しかし,発達神経学的な考え方が取り入れられ,さらに画像検査により脳の障害の詳細が明らかになり,障害,機能的な状態および「参加」に関する概念が変化した.脳性麻痺の児は,単なる運動障害だけではなく,自閉症・学習障害・AD/HD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害,口腔・言語の障害,さらに重度なものでは嚥下障害,視力の障害などを伴う.児によっては運動障害より,むしろ併存する障害の方が社会生活上の大きな問題となる場合がある.このため2004年に米国のMaryland州Bethesdaで脳性麻痺の定義および分類に関する国際ワークショップが開催され,脳性麻痺の定義と分類の更新が試みられている1).疾患の定義は,診断,治療の根幹をなすもので,重視される必要がある.
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