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編集後記
藤田 郁代
pp.66
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200418
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この冬は厳寒が続いていましたが,ようやく光の春を感じるようになってきました.それと同時に国民の約半数が罹っているという花粉症の季節も到来しました.ウクライナ戦争,収束しないCOVID-19,トルコ・シリアの大震災や地球温暖化などの難題に世界は直面していますが,すべての人々に穏やかで晴れやかな春が訪れることを願います.
3月は卒業のシーズンです.大学院で言語聴覚分野の学生を指導している私は今春2名の博士を世に送り出しました.1名は失語症者の呼称は時間を置くことにより改善するかを検討した研究,もう1名は発語失行におけるプロソディーの評価指標を音響学的に追究した研究を博士課程3年間で完成させました.いずれも言語聴覚臨床に役立つ新規性のある知見を得ており,論文発表を通して多くの方々と共有するものと思います.この2名はコロナ禍で言語聴覚部門の主任として臨床をリードしつつ,研究を完成させました.その永続的な努力と飽くなき探求心には頭が下がりますが,これは本誌に投稿される方々に対しても同じです.研究は社会的な行為であり,その基底には個人的な知的好奇心だけでなく,言語聴覚障害がある人のQOL,言語聴覚療法の進歩に貢献したいという強い思いがあるはずです.私は編集者として,厳しい臨床環境の中で志を持って研究を遂行し論文としてまとめられた方々の思いを真摯に受け止め,掲載までの過程を丁寧に支援したいと考えています.
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