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編集後記
藤田 郁代
pp.82
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200321
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本年7月には,東京オリンピックが開催されることになっていますが,この祭典は人間の英知と変異を繰り返すCOVID-19との闘いともなりそうです.過去を振り返りますと,人間は幾度となく感染症と闘い,それを克服してきた歴史をもちます.今回も,積み重ねた経験と英知によってCOVID-19を克服する道が一日も早く拓かれることを望みます.
今回は,本誌の歴史を少し辿ってみることにします.本誌が創刊されたのは2004年11月であり,2020年12月までに17巻,373編の論文が掲載されました.発行回数は,2012年までは年3回でしたが,2013年からは年4回となりました.原著論文を対象として,論文の障害領域別比率を1期(2004〜2012年)と2期(2013〜2020年)に分けて調べてみますと,一貫して論文数が多いのは失語・高次脳機能障害領域であり,1期は40%,2期は34%を占めます.次いで発達障害領域が多く,1期は21%,2期は20%でした.近年増加しているのは摂食嚥下障害領域の論文数であり,1期は6%にとどまっていましたが,2期は19%に昇っています.発声発語障害は1期10%・2期12%,聴覚障害は1期10%・2期1%,吃音は1期1%・2期3%でした.言語聴覚障害学が発展するには,すべての障害領域の研究が活発化することが重要であり,各領域の研究のさらなる進展が期待されます.
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