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Ⅰ.はじめに
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて,医療提供体制の再構築および地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組みが進められている中,平成26年度の診療報酬改定が行われた.今回の改定では,医療機関の機能分化・強化と連携,在宅医療の充実等が重点課題とされ,改定の視点としては,1)充実が求められる分野を適切に評価していく視点,2)患者等から見て分かりやすく納得でき,安心・安全で質の高い医療を実現する視点,3)医療従事者の負担を軽減する視点,4)効率化の余地がある分野を適正化する視点が挙げられている.
充実が求められる分野を適切に評価していく視点ではリハビリテーション(以下,リハ)の推進が挙げられ,急性期リハにおいては,ADL維持向上等体制加算が新設され,急性期病棟専従の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士によるADL低下の防止が,回復期リハでは入院料1における体制強化加算が新設され,リハ科医師と社会福祉士の病棟専従体制によりさらなる質の向上が期待された.維持期リハでは,改善が期待できない場合の13単位/月算定について2年を期限に延長したが,通所リハを提供していない医療機関は10%減算とするなど,介護保険の短時間通所リハの普及推進が期待されている.廃用症候群については,点数を大幅減額および算定要件を厳格化し,廃用症候群のリハの適正化が図られた.摂食機能療法については,経管栄養から経口摂取への移行推進を期待する経口摂取回復促進加算が新設され,言語聴覚士の専従要件が規定されたことは大きな動きであった.
このような状況下,言語聴覚士を取り巻く環境はどのように変化しているのか.また,どのような問題が生じているのか.日本言語聴覚士協会職能部医療保険部では,本改定を受け医療施設における言語聴覚士を取り巻く状況を調査する目的で,「診療報酬改定の影響に関するアンケート調査」を行った.
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