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編集後記
藤田 郁代
pp.186
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100222
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平成21年9月に,政権が自由民主党から民主党へと代わり,わが国の社会保障制度のあり方が再検討されようとしています.後期高齢者医療制度や障害者自立支援法については見直しの声があがっており,どのような制度改革が進むか見守りたいと思います.ところで,介護保険法が制定されたのは1997年で,その実施は2000年4月に始まり,まもなく10年が経過しようとしています.本制度は高齢化社会をともに支える仕組みとして定着してきていますが,介護保険領域で活躍する言語聴覚士はまだ8%と少なく,言語聴覚障害がある人々に言語聴覚士の専門的サービスが十分に提供できる態勢になっていません.その実態と改善すべき点は,日本言語聴覚士協会職能部による調査報告「平成21年度介護報酬改定に向けての実態調査」に詳しく述べられています.また,言語聴覚障害のうち吃音は,その発症率が約5%,有病率が1%といわれ,かなりの数の有病者の存在が推定されますが,その方々に言語聴覚士がどのような専門的サービスを提供しているかに関する本格的調査はこれまでありませんでした.このたび,日本言語聴覚士協会学術研究部吃音小委員会は吃音臨床にかかわる言語聴覚士の数や臨床の実態を調査し,「吃音臨床に関する実態調査-1次調査・2次調査」としてまとめ本誌に掲載しています.このような実態調査結果から,あるべき臨床の姿やシステム構築の方向性が見えてくるものと思います.本誌には,このような意義ある調査報告が定期的に掲載されており,各界から注目を浴びています.
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