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本誌の創刊は2004年11月であり,この秋で20周年を迎えます.本年度はこれを記念して「特別号」を発行し,特集として「わが国における言語聴覚療法のエビデンス:システマティックレビューによる検討」を組むことにしています.システマティックレビューは類似した研究を一定の基準で選択し品質を評価したうえで,明確な科学的手法によって結果をまとめる研究です.特集ではこの手法を用いて失語,高次脳機能障害,言語発達障害,聴覚障害,発声発語障害,摂食嚥下障害に対するわが国の言語聴覚療法のアウトカムを追究した論文が掲載されます.
言語聴覚療法においては,対象者に最善の訓練・指導・支援を提供することが求められますが,近年,この臨床プロセスとしてエビデンスに基づく臨床が重視されています.言語聴覚分野では,American Speech-Language-Hearing Associationがevidence-based practice(EBP)に関する声明を発表して以降,EBPは世界の言語聴覚臨床に徐々に浸透してきました.わが国でもエビデンスに基づく言語聴覚療法の重要性は認識されているものの,その実践は今一つ進んでいないように思われます.その原因の一つは言語聴覚療法に関するエビデンスを体系的に集積し,それを臨床現場に伝えるインフラが十分に整備されていないことにあるように思います.そこで,本誌編集委員会はこのインフラ整備の一環としてワーキンググループを立ち上げ,総勢44名の協会員の協力を得てシステマティックレビューの作成に取り組んできました.この研究成果は誌上だけでなく,本年6月21・22日に開催される第25回日本言語聴覚学会のシンポジウムにおいても発表されることになります.
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