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言語聴覚障害の臨床および研究に携わってきた者が長年願ってきたことは,それぞれの立場を超えて自由に研究情報の交換ができ,言語聴覚障害学の発展に寄与する学術雑誌をもつことでした.このような雑誌を発刊することはわが国で唯一の言語聴覚士職能団体である日本言語聴覚士協会の責務と自覚し,これまでその準備を進めてまいりました.そして,協会発足から5年目にして学術集会を日本言語聴覚学会として組織化し,生涯学習プログラムも発足し,学術研究部活動の成果も次々と発表されるようになりましたので,昨年6月に本格的に発行準備に着手し,ここに創刊号をお届けできることとなりました.これまで本協会の歩みを暖かく見守り,ご支援くださいました方々に心から感謝申し上げます.
今回は,わが国の言語聴覚障害学領域のフロンティアであり,臨床・研究・教育において卓越した業績をあげられた笹沼澄子先生,船山美奈子先生,伊藤元信先生に発刊に寄せてのメッセージをいただきました.本誌は各先生のおことばを確かに受け止め,これまでの歴史を未来へとつないでいきたいと思います.講座は現在,言語聴覚士の多数が苦労し,模索している嚥下障害のチームアプローチのあり方について藤島一郎先生に論じていただきました.原著論文は4編で,健常言語,聴覚障害,言語発達障害,高齢者の言語・認知に関する論文でいずれも臨床に密着したテーマです.臨床過程を客観化し,科学化することは容易ではない作業ですが,これに正面から取り組んだ研究のさらなる進展が期待されます.急性期言語聴覚療法に関する調査研究報告は,学術研究部急性期リハ小委員会の活動によるものであり,急性期の言語聴覚療法の実態と課題が浮き彫りになっていると思います.リポート「現場,最前線」は特別支援教育が始まろうとしている教育現場から報告していただきました.
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