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編集後記
藤田 郁代
pp.297
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200008
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今年の夏は西日本では集中豪雨による被害が続出し,からりと晴れた夏らしい日が少なかったように思います.6月にさいたま市で第15回日本言語聴覚学会(半田理恵子会長)が開催されてから早や2か月が過ぎましたが,今号には同学会における一般演題の事後抄録が掲載されています.同学会の一般演題は335題に達し,60個を超えるセッションで発表と熱い討議が繰り広げられました.
今学会のテーマは「言語聴覚士とはなにか,あるべき姿を再考する」であり,この根源的な問いを巡ってシンポジウムなどで興味深い討論が展開されました.ところで,わが国の言語聴覚士の年齢分布を見ますと20〜30歳代が75%を占めています.この年代の方々は医療福祉制度の変革が急激に進む中で言語聴覚士になり,流動的に変化する制度やシステムに対応した専門性すなわち「言語聴覚士は何をなすべきか,何ができるか」をそれぞれの現場で模索し続けてきました.新しい仕組みの中で専門性を確立するには言語聴覚士のアイデンティティーを社会・臨床状況と関連づけて明確化,具体化し,専門的介入による効果を患者さんや他の専門職に示すことが求められます.それにはリサーチマインドをもって言語聴覚療法に取り組み,客観性,再現性,科学性に裏付けられた知見を蓄積していく地道な作業が必要です.今号の事後抄録からこのような試みが幅広い分野で精力的に行われていることを知ることができます.
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