連載 りれー随筆・293
自分の居場所を求める旅
小楠 範子
pp.446-447
発行日 2009年5月25日
Published Date 2009/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101439
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赤ちゃんが泣き声で教えてくれる家族の姿
看護師として歩き始めた当初,私は産科病棟に勤務していました。そこではいくつものいのちの誕生に立ち会いました。当時私がいた病院は,赤ちゃんは新生児室におあずかりして,お母さんは病室でゆっくり休み,母乳をあげる時などに赤ちゃんと対面するという体制をとっていました。
新生児室で毎日十数人の赤ちゃんをケアしているうちに,私は,赤ちゃんの泣き方がそれぞれ微妙に違うということに気づくようになりました。もちろん,人にはそれぞれ個性がありますので,赤ちゃんの泣き方もそれぞれ違っていて当然で,違いがあるのは驚くことではないのかもしれません。ですが,よくよく泣き方を聴いてみると,同じ泣くにしても「力のない泣き方」「まるで気が狂ったような泣き方」「穏やかな泣き方」本当にいろいろなのです。そのうちに,泣き方でその赤ちゃんの家族背景が何となくわかるようになってきました。
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