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はじめに
小児リハは,医療,保健,教育,福祉,行政などの連携が多く求められる分野であるが,ライフステージによっては,家族支援のキーパーソンや支援の方向性が見えにくい現状がある。少子高齢化の中,高度医療の進歩とともに,濃厚な医療が必要な子どもたちが増え,厚生労働省でも検討を重ね,各都道府県,市町村を中心にその対策が求められている1)。療育においても,人工呼吸器や経鼻経管などの医療ケア等を含む重症心身障害児の療育が十分に受けられなかったこともあり,平成30年の法改正では,訪問療育が開始されるようになる2)。全国特別支援学校における医療ケア対象幼児児童生徒数は,平成28年で8,116名と大幅に増加し,通学手段,親の介護負担,預け先の不足,進路,医療移行など課題は多い3)。これら医療,福祉の変遷とともに教育も大きく変化し,神奈川県立特別支援学校では,平成15年より看護師,平成20年よりPT,OT,ST,心理職を自立活動教諭として正規職員として採用し,障害の重度・多様化やセンター的機能の強化に対応することとなった。PT,OT,STなどを外部専門家として受け入れている特別支援学校は多いが,内部に教員としてこれら専門職を採用している都道府県は少ない。インクルーシブ教育の推進に伴い,地域における相談ニーズは,今後ますます増えることが予測される4)。特にPTに対する相談内容は,医療ケア等の必要な重度障害児をはじめとする肢体不自由児,運動がぎこちないなど知的障害児,協調性運動障害児への対応と幅広い。しかし学校生活のみならず,さまざまな課題解決のためには対応困難なことも多いため,関係機関との調整など,教育相談担当とともに専門職にもそのコーディネート力が求められる。今回,重症心身障害児への校内相談事例を通し,ライフステージごとに必要な支援や現状,課題にふれていきたい。
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