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はじめに
重度の知的障害と身体障害が重複する重症心身障害者(児)の数は人口1万人あたり3〜9人と推計されている1)。児童1,000人あたり1〜1.5人であり,全国で1万9,000〜2万8,500人がいるとされる。そのうち,医療的ケアを日常的に必要とする在宅の児童は全国で1万〜1万5,000人とされる。
このたび児童福祉法の一部が改正され,新たに追加された第56条の6第2項において,人工呼吸器を装着しているなど医療的ケアを要する障害児(以下,医療的ケア児)が適切な支援を受けられるよう,自治体が保健,医療,福祉などの連携促進に努めることとされた。改正法の施行(平成30年4月1日)に先立ち同項は公布(6月3日)とともに施行されることとなり,同日発出された都道府県知事等宛て通知「医療的ケア児の支援に関する保健,医療,福祉,教育等の連携の一層の推進について」(平成28年6月3日医政発0603第3号ほか)は,厚生労働省だけでなく内閣府,文部科学省の各局長・部長の連名によるきわめて異例のものとなった。医療的ケア児の包括的な支援を実現するため自治体の役割の大きさを改めて明記したものと言えよう。
かつて医療設備の整った施設しか生活の場のなかった医療的ケア児が,在宅医療の進展により地域(家庭)で生活できるようになってきた。その際の課題が,医療的ケア児専門のケアマネジャーがいないことや,小児に対応できる訪問看護ステーションが少ないことであった。
そこで,筆者は平成23年1月に小児を対象とした「訪問看護ステーションあきやま」を設立し,また,医療的ケア児の通園先として平成25年4月に「児童発達支援事業所あきやまケアルーム」(以下,あきやまケアルーム)を開所した。
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