特集 ノーリフトケア—介護者・対象者 共にやさしい起居・移乗技術
地域での取り組み
西川 まり子
1,2
1合資会社オファーズ訪問看護ステーションおたすけまん
2日本ノーリフト協会高知支部
pp.351-355
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200857
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はじめに
高知県は2016年度に「高知家ノーリフティングケア宣言」をし,全国で初めて,県を挙げて取り組むことを明言した。その背景には高知県が全国に比して厳しい現状に置かれたことにある。人口71万人,高齢化率34.4%(2018年3月推計)と少子高齢化が急激に進んでおり,人口減少率は全国平均を15年先行し,高齢化率は10年先行している。そして来る2025年には900人の福祉・介護人材不足が見込まれている。人口71万人の高知県にとっての900人の確保は容易なことではない。それを実現するためには,腰痛などを理由で離職する人をなくし,新規人材を確保できるための体制づくりは必須である。
それを実現するには,まず介護の職場を魅力あるものにすることが必要で,「介護=腰痛を引き起こす重労働」という現状の改善と一般にまで広がっているイメージの払拭を図るために,ノーリフティングケアを通じて介護業界の意識と働き方を変える取り組みを推進することが不可欠であった。介護する側,される側双方の健康と安全を保障できるノーリフティングケアをスタンダードなケアとすることを目指し,高知県と民間が協力して取り組んできたことについて述べる。
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