Japanese
English
特集 転倒予防とリハビリテーション
地域における取り組み
Fall prevention in community dwelling older adults.
山田 実
1
Minoru Yamada
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
1Kyoto University Graduate School of Medicine
キーワード:
転倒予防
,
二重課題
,
地域在住高齢者
Keyword:
転倒予防
,
二重課題
,
地域在住高齢者
pp.131-136
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101966
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はじめに
65歳以上の高齢者の3人に1人は,1年間に1回以上転倒することが報告されている1).移動能力が低下すれば,転倒頻度は高まり,Timed Up and Go Test(TUG)15秒以上の高齢者になると,2人に1人は1年間に1回以上転倒する.このように「転倒」というと,非常に虚弱な高齢者を思い描くが,一方でわれわれが行った調査では,TUGを8.3秒以内に遂行するような,高い移動能力を有している高齢者であっても,5人に1人は1年間に1回以上転倒することがわかった.表1に2001年にアメリカ老年医学会が報告した転倒のリスク要因を示す2).これをみれば,虚弱な高齢者で転倒リスクが高まるという印象を受ける.しかし,このような疫学調査には落とし穴があり,前述のような移動能力別や年代別の調査ではないため,どうしても高齢者の身体能力がリスク要因であると捉えられがちである.つまり,表1のようなリスク要因は,身体機能が低下した高齢者の転倒は予測できても,身体機能が比較的維持されている高齢者の転倒予測には適していない.しかし,介護予防等を念頭に置いた場合,虚弱高齢者のみならず,比較的身体機能の高い高齢者の転倒予防も重要な取り組みになる.
われわれは,地域で高齢者の転倒を予防するに当たり,まずは身体機能レベルに応じた転倒リスク要因の検証,そして,各機能レベルに応じた有用な運動介入方法の開発を目指している.本稿では,このような取り組みを紹介しながら,地域における転倒予防のあり方を考えてみたい.
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