巻頭言
地域包括ケアシステムに回復期リハビリテーション病棟が果たす役割は何か
角田 賢
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1社会福祉法人こうほうえん錦海リハビリテーション病院
pp.450-451
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200620
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2000年に回復期リハビリテーション病棟が介護保険制度とともに作られて17年が経過しました。この17年の間に病院の機能分化が進行し,急性期病院はより急性期らしく,回復期はより回復期らしく,そして生活期はかかりつけ医が受け持っていくことが医療法の改正,診療報酬制度による経済的な誘導も含めて推し進められています。私は2001年から回復期リハビリテーション病棟の専従医,専任医として16年,まさに回復期一筋のリハビリテーション科医として勤務してきました。
厚生労働省は,団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に,「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供」される地域包括ケアシステムの構築を目指していますが,この考え方は地域リハビリテーションの定義「高齢者や障害のある人々が,住みなれた所で,そこに住む人々と共に,一生安全にいきいきとした生活が送れるよう,医療・保健・福祉および生活に関わるあらゆる人々がリハビリテーションの立場から行う活動のすべて」ときれいに重なります。地域包括ケアシステムの構築へ向けたリハビリテーションの立場から行う活動がまさに地域リハビリテーションということになります。回復期リハビリテーション病棟も脳血管障害などで在宅生活が困難となった患者さんの在宅復帰を目指すという意味でまさにこの地域リハビリテーションの一部であり,地域包括ケアシステムの理念を実現するうえで大きな役割を果たしているのは間違いありません。
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