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立ち上げに至る出会い
NPO法人認知症フレンドシップクラブ(Dementia Friendship Club:DFC)が札幌に立ち上がったのは,2007年のことだった。現在では,認知症を生きる人々が地域の中で安心して暮らしていける「認知症にやさしい町」づくりを目指し,認知症を生きる人々とともに彼らの隣人(友人)として自由に集い,出会い,気づき,アクションを起こせる地域基盤の構築を目的として活動を続けている。
立ち上げから遡ること3年前の2004年,京都で開催された国際アルツハイマー病協会第20回国際会議において,イギリスのオックスフォードから来日していた看護師,エリザベス・キング女史にお会いしたことが,DFC立ち上げに至る大きなきっかけだった。オックスフォードで行われていた若年性認知症患者へのサポートであるクライブ・プロジェクトの話を聞き,介護保険のはざまで自分のやりたいことすらできずに暮らしている認知症の人たちへのサポートとして,わが国にもぜひ導入できればと,強く感じたことを覚えている。クライブ・プロジェクトとは,若年性認知症の人とその家族を対象に提供されていた独自の支援のプログラムである。このプロジェクトでは,認知症を生きる人たちのさまざまな活動をサポートする働き手を養成し,例えば散歩やショッピング,外食やスポーツ観戦など,認知症の人が楽しみたいと願うさまざまな活動を彼らの友人として支援するサービスを行っていた。キング女史のお話をうかがい,また実際にイギリスで行われていた活動も視察し,なんとかわが国でも同様な活動を展開できないかと模索していた。そして2007年3月,当事者だけでなく,ご家族や介護者を含めた認知症を生きる方々が,地域の中で安心して暮らすことができる町づくりをめざし,単なる日本版クライブ・プロジェクトの提供にとどまらない新たな活動を始めていく拠点として,とにかく動き始めようと札幌で小さいながら立ち上げを迎えたのがDFCである。
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