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特集 認知症基本法と作業療法—共生社会において個性と能力が発揮できる支援
社会参加から地域共生社会実現に向けて—認知症フレンドリーコミュニティにおける企業連携,開発を通じて
From social participation to the realization of a community-based society: Through corporate collaboration and development in dementia-friendly communities
伊藤 篤史
1
,
鬼頭 史樹
2
Atsushi Ito
1
,
Fumiki Kito
2
1共和病院
2一般社団法人ボーダレス
pp.1059-1064
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203957
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Key Questions
Q1:専門職がつくり出す認知症当事者に対する偏見とは?
Q2:認知症基本法や認知症フレンドリーコミュニティの考え方から作業療法士の専門性を活かすには?
Q3:作業療法士として社会参加支援に取り組むための「翻訳者」とは?
はじめに
現在の所属先となる以前,筆頭筆者は認知症対応型通所介護事業所(以下,認知症デイ)にて,管理者兼作業療法士として,約10年にわたり認知症当事者の方(以下,当事者)の社会参加に携わってきた.当初は当事者を外に連れ出すこと(ボウリングや地域の公園の清掃等)に対して,さまざまな批判があった.行政による運営指導でも「サービスは施設内で行うもの」と言われ,そのつど当事者が外に出ることの意義や効果,何よりも当事者の意向であることを伝え,説明のための資料を作成して対応した.2018年(平成30年)7月に厚生労働省老健局から「若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について」が発出されたことで,「これまでやっていたことは間違っていなかった」,「これで当事者と思い切って楽しく活動できる」と嬉しく思ったことが思い出される.
一人の人として,社会とつながることは必須である.しかし,認知症と診断されると,周囲が“何もできなくなる”と決めつけてしまう.確かに生活の中で苦手になることはある.だからこそ,その部分を認知症デイの中で評価分析をしたうえで,一緒に考え,あたり前の生活を取り戻していこうと日々奮闘してきた.
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