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はじめに
鶴巻温泉病院(以下,当院)は,2015年5月現在,病床数591床(回復期リハ病棟206床,医療保険療養病棟240床:うち24床は在宅復帰強化,障害者・難病リハ病棟120床,緩和ケア病棟)を有する多機能のケアミックス病院である。院内に透析施設を有しておらず,入院・外来で透析患者に会うことはない。しかしながら,当院栄養サポート室では,訪問栄養食事指導の事業を展開しており,地域から透析患者の居宅療養管理指導の依頼を受けている。筆者自身は前職がCKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)の中でも特に透析医療の専門病院で,1,000名(延べ1万3,500件)以上の透析患者さんの外来・入院の栄養相談に当たってきた経験がある。
今から13年前(2002年)の診療報酬の引き下げで,透析中の食事が保険給付から外れたことは,透析患者の食生活を考えるうえで,とても大きな出来事だったと考えている。経済的な問題から病院提供の有料の食事の利用を止めた方も多かった。週3回の1食(21食中3食=1/7食)がなくなったことで,食生活全体の調整が難しくなった方もみられた。
現場の管理栄養士として考えたことは,それまで以上に透析患者の日常の食事に目を向ける必要があるということだった。さらに9年後(2011年)には東日本大震災があり,関東でも計画停電などを経験した。ゴールデンウイークには,被災地の宮城県石巻市,女川市で避難所に暮らしている方,ご自宅で過ごされている方の支援に入り,いつもどおりでない食生活を目の当たりにした。これらの経験を経て,現在,筆者の使命は,在宅の栄養ケアが当たり前の日本を目指していくことだと考えている。
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