連載 技法=以前・7
つながり
向谷地 生良
1,2
1浦河べてるの家
2北海道医療大学
pp.102-106
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100493
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「日本人が好きになりました」
昨年の7月から浦河町内にある共同住居に住み込み、べてるの家をはじめとする浦河の精神保健福祉活動をリサーチしている文化人類学者がいる。エール大学のナカムラ・カレンさんである。彼女は日本人であるが、両親が東南アジアをフィールドとする文化人類学者であったため海外での生活が長く、日本語よりはるかに英語が堪能である。彼女は、帰国子女としての苦労の経験から社会的少数者の問題に関心をもち、日米の障害者運動や精神障害者問題を研究している。日本の障害者問題を扱った彼女の論文は、オックスフォード大学出版局創立百周年記念事業の一環として実施した「読むべき世界の論文百選」に選定されるなど、国際的にも注目されている若手の研究者である。
その彼女が、東京や大阪の障害者団体と交流をもつなかで「北海道の浦河にあるべてるの家に一度行ってきたらいいよ」と言われて足を運んだのが、1年ほど前のことである。以来、彼女は、映像文化人類学の研究者として浦河に関心をもち、たびたび足を運んではビデオを回すようになり、半年前からは浦河に定住して研究活動をするようになった。
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