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特集 脊椎脊髄手術 術中・術後出血をいかに減らすか!
低侵襲手術の進歩と術中術後出血の変化
Changes in Intraoperative and Postoperative Hemorrhage with Advances of Minimally Invasive Spine Surgery
尾原 裕康
1
,
野尻 英俊
1
,
原 毅
1
,
阿部 瑛二
1
,
岩室 宏一
1
Yuko OHARA
1
,
Hidetoshi NOJIRI
1
,
Takeshi HARA
1
,
Eiji ABE
1
,
Hirokazu IWAMURO
1
1順天堂大学脊椎脊髄センター
1Spine and Spinal Center,Juntendo University Hospital
キーワード:
低侵襲脊椎手術
,
minimally invasive spinal surgery
,
術中出血
,
intraoperative bleeding
,
術後血腫
,
postoperative hematoma
Keyword:
低侵襲脊椎手術
,
minimally invasive spinal surgery
,
術中出血
,
intraoperative bleeding
,
術後血腫
,
postoperative hematoma
pp.611-616
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202374
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はじめに
近年,各種分野で手術治療の低侵襲化が加速している.特に,内視鏡手技,ロボット手術の開発が目覚ましい.低侵襲手術は一般的な認識として,小皮膚切開を代表とするsurgical approach related damageの最小化により出血,在院日数などが減少する治療とされる.脊椎手術の低侵襲化も各種のデバイスの発達により進んできた.脊椎手術では傍脊柱筋,関節,骨組織の温存,神経組織の操作を減らすことも重要な評価項目の1つである.脊椎低侵襲手術には鏡視下手術と固定術の2つの流れがある.1つは顕微鏡から内視鏡,現在の全内視鏡下脊椎手術に続く除圧術を主とした低侵襲化であり,もう一方が経皮椎弓根スクリューから始まったインストゥルメンテーション手術の低侵襲化がある.最近では,低侵襲な経皮的インストゥルメンテーション挿入に内視鏡を併用する内視鏡下脊椎固定術が行われている.
一般に脊椎手術後の硬膜外血腫はまれであり,これまでの報告では0.1〜1%程度である4),17),29).2015年に発表された日本脊椎脊髄病学会のnationwide surveyの結果13)では,術後の硬膜外血腫の頻度は0.9%であり,硬膜外血腫に関与する術中危険要素は手術時間と術中出血量であった.特に,術中出血量は術後深部感染,術後硬膜外血腫,肺塞栓,死亡のいずれに関しても有意に関連していたと報告されており,重要な要素と考えられる.低侵襲手術はともすると安全性の高い治療という認識を受けがちである.本稿では,おのおのの低侵襲脊椎手術が術中術後出血に与える影響を考察する.
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