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Spine & Spinal Cord Volume 37, Issue 6 （July 2024）

脊椎脊髄ジャーナル 37巻6号（2024年7月発行）

Japanese English

特集胸椎後縦靭帯骨化症—手術治療の進歩

胸椎後縦靭帯骨化症に対する後方除圧固定術の長期成績 Long-term Clinical Outcome of Posterior Decompression with Instrumented Fusion in Patients with Thoracic OPLL 古矢丈雄 ¹ , 丸山隼太郎 ¹ , 牧聡 ¹ , 國府田正雄 ^1,2 , 山崎正志 ^1,2 , 大鳥精司 ¹ Takeo FURUYA ¹ , Juntaro MARUYAMA ¹ , Satoshi MAKI ¹ , Masao KODA ^1,2 , Masashi YAMAZAKI ^1,2 , Seiji OHTORI ¹ ¹千葉大学医学部附属病院整形外科 ²筑波大学医学医療系整形外科 ¹Department of Orthopaedic Surgery, Chiba University Hospital キーワード：胸椎後縦靭帯骨化症 , ossification of the posterior longitudinal ligament of the thoracic spine , 後方除圧固定術 , posterior decompression with instrumented fusion , 長期成績 , long-term surgical outcome Keyword: 胸椎後縦靭帯骨化症 , ossification of the posterior longitudinal ligament of the thoracic spine , 後方除圧固定術 , posterior decompression with instrumented fusion , 長期成績 , long-term surgical outcome pp.385-392

発行日 2024年7月3日 Published Date 2024/7/3

DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202324

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参考文献 Reference

はじめに

　胸椎後縦靭帯骨化症（ossification of the posterior longitudinal ligament of the thoracic spine：胸椎OPLL）は胸椎に発生する異所性の靭帯骨化である．この疾患は靭帯組織が異所性骨化として「骨化巣」に置換される病態を特徴としている^13）．脊柱管内における骨化巣は脊髄や神経根の圧迫を引き起こす可能性があり，それにより痛み，しびれ，感覚障害，運動麻痺などの神経症状が生じ，患者の日常生活動作に大きな影響を及ぼす．胸椎OPLLは頸椎・腰椎高位のOPLL同様，症状が生活動作に支障をきたしている場合には外科的介入が推奨される．胸椎OPLLに対するさまざまな術式の中で，後方除圧固定術（posterior decompression with instrumented fusion：PDF）は，以前の椎弓切除術，前方除圧固定術，後方進入脊髄前方除圧術（いわゆる大塚法），脊髄全周除圧術に比し，合併症発生率が比較的低く，治療成績も安定していることから，近年最も施行される術式となった^{4,8〜11,15〜17）}．しかしながら，その長期的な治療成績の経過に関する報告は少ない^2,6,7,14）．本稿では，当院で経験した胸椎OPLLに対するPDF施行症例を振り返り，その術式における基本概念と術式の変遷，および10年以上の長期成績と長期経過での問題事項について概説する^6,7）．