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はじめに
機能性神経障害(functional neurological disorder:FND)は,歴史的にはヒステリー(hysteria)や転換性障害(conversion disorder)などと呼ばれたもので,20世紀後半には医学的興味は失われていたが,近年,脳神経内科外来を受診する患者の要因としても頻度が高い24,26)ことが認識され,日本神経学会でもほぼ毎年教育コースやシンポジウムがもたれるなど本邦でも注目され始めている.2020年には「心因性疾患(変換症/転換性障害;ヒステリー)の現在」という特集が本誌でも組まれた23).
このような流れの中で,2023年5月31日〜6月3日にかけて千葉の幕張メッセで行われた第64回日本神経学会学術大会において,「Functional neurological disorders:updates and the role of neurologists」(座長:Jon Stone,園生雅弘)と題したシンポジウムが企画され,自国である英国スコットランドのみならず,国際的にもFND領域の発展に多大な貢献をされているJon Stone先生を招聘し,園生,冨山誠彦,Stoneが登壇した(以下も含め敬称略).
園生は「functional weakness」と題し,Hoover試験7)やSonoo外転試験21)を含むfunctional weaknessの陽性徴候の手法についても詳細に提示し(これらについては本誌の別稿も参照いただきたい),冨山は「Functional Movement Disorders:The Role of Neurologists」と題し,functional movement disorderの実際の動画を数多く提示しながら,診断のコツや,どのように患者に診断を説明するかなどについても解説した.最後に,Stoneは「Functional Neurological Disorder(FND)- an overview and “the assessment as treatment”」と題し,この約20年間のFND診療の革命的変化について講演した.この講演はこの変革を主導したStone自身による非常に貴重な講演だったので,本稿では,本人の許可も得たうえで(共著として内容もご確認いただいた),その講演内容を誌上でできる限り忠実に再現することを試みる.
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