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特集 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法(動画付き)
第2章 特徴的な歩行と異常姿勢
起立歩行の徴候総論
Overview of the Symptoms of Standing and Walking
望月 仁志
1
,
佐藤 有生
1
Hitoshi MOCHIZUKI
1
,
Yuma SATO
1
1海老原総合病院脳神経内科
1Department of Neurology, Ebihara General Hospital
キーワード:
動揺性歩行
,
waddling gait
,
痙性歩行
,
spastic gait
,
感覚失調性歩行
,
sensory ataxic gait
Keyword:
動揺性歩行
,
waddling gait
,
痙性歩行
,
spastic gait
,
感覚失調性歩行
,
sensory ataxic gait
pp.872-878
発行日 2024年1月19日
Published Date 2024/1/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202215
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はじめに
神経疾患の診察において,姿勢・歩行異常の状態を正しく解釈することはとても重要で,診断のための大きな一歩となる.高齢者においては歩行障害の有症状率は高く,60歳以上の15%,85歳以上では80%に何らかの起立・歩行障害を認める6).原因は,脳神経内科,整形外科疾患の割合が多く,脳,脊髄,骨・関節,末梢神経,筋肉,血管とあらゆる部位の病変で生じ得る.何らかの全身疾患に伴って起立歩行に支障をきたすことが多い.
起立の姿勢を保つこと,またいったん歩き始めた後の歩行は,特に体肢の動作を意識することなく,ある程度自動的にその姿勢もしくは歩行を維持することができる.通常の歩行であれば,中脳レベルの歩行誘発野(mesencephalic locomotor region:MLR)が歩行のトリガーに関連2)し,脊髄レベルではリズム生成機構(central pattern generator:CPG)が上位中枢からの入力により歩行リズム・パターンを生成4)している.通常とは異なる変則的な動き,意図の関与が強いほど大脳皮質,特に前頭葉の一次・二次運動野,視覚情報処理に関連した後頭葉・頭頂葉の関与が強く,それに加えて小脳,MLRが重要な役割を果たす.
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