連載 症候学メモ・24
開脚起立・開脚歩行の「あしはば」
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.1135
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205818
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◆運動失調や平衡障害のある患者が,左右の脚を開いて立ち,歩くのを,開脚起立・開脚歩行というが,両脚をどの位開くと開脚と呼ぶのであろうか。それには先ず,健常人が脚をどの位開いて起立・歩行するかを知らなくてはならない。
◆本論に入る前に,二,三,言葉を明確にしておく必要がある。「あしはば」を足幅と書けば,片足の内側の縁と外側の縁との距離をいう。足の前後の長さ,すなわち足長に対するものである。しかし,我々はしばしば,左右の足の間隔を「あしはば」とも呼ぶ。これには足幅の文字は,上記のことを考慮すると,妥当でない。ここではこれを脚幅と書く。脚は膝から下の部分をさし,幅は二点の隔りをさして用いることもあるからである。ここでは両踵間の距離ということにする。日本語の「あし」は下肢全体をさすときもあれば,足をさすときもあるので,これでよいのではないかと考えている。すなわち,足幅も脚幅も発音は同じだが,内容は異なる。
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