Japanese
English
特集 起立と歩行
起立・歩行の喪失―寝たきり老人の神経学的問題点
Loss of standing and gait. Neurological implications of being “bedridden” in the aged.
豊倉 康夫
1
Yasuo TOYOKURA
1
1東京都老人医療センター
1Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital
pp.327-328
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900134
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はじめに
「朝は4本足,昼は2本足,夕方は3本足で歩く動物は何か?」という有名なスフィンクスの問いは,幼児から老年にいたる人間の生涯を暗示したものであった。しかし,ここには「寝たきり老人」という夜の一項はふくまれていなかった。
ところが,わが国における未曽有の高齢化社会の到来に加えて,その他もろもろの要因から,寝たきり老人の数は年を追うて増加しつつある。現在,わが国のまったくの寝たきりもしくは準寝たきりの高齢者は,全国で約60~70万人と推計され,このままの状態が推移すれば紀元2,000年には100万人に達すると予測されている。また,寝たきり老人の比率は75歳以上,とくに85歳以上の後期高齢者になると飛躍的に上昇する。寝たきりになってからの期間についての東京都の調査によれば,5~10年未満23.1%,3~4年未満19.2%,10年以上15.4%の順といわれ,一般に長期化の傾向が明らかになっている。
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