臨床室
Intrathecal baclofen療法とボツリヌス療法を併用し痙性歩行が改善したKrabbe病の1例
久本 和史
1
,
池田 巧
,
水野 健太郎
,
三上 靖夫
,
久保 秀一
,
中川 正法
,
久保 俊一
1京都府立医科大学 大学院整形外科
キーワード:
Baclofen
,
Botulinum Toxins
,
Galactosylceramidase
,
MRI
,
足関節
,
多剤併用療法
,
脊椎内投与
,
日常生活活動
,
白質ジストロフィー-グロボイド細胞型
,
薬物用量反応関係
,
関節角度測定
,
機能的自立度評価法
,
痙性歩行
,
歩行分析
,
立脚期
,
遊脚期
Keyword:
Activities of Daily Living
,
Ankle Joint
,
Botulinum Toxins
,
Baclofen
,
Dose-Response Relationship, Drug
,
Drug Therapy, Combination
,
Galactosylceramidase
,
Leukodystrophy, Globoid Cell
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Injections, Spinal
,
Arthrometry, Articular
pp.136-139
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015182337
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は48歳、男性。6年前に成人型Krabbe病と診断され、抗痙縮薬の内服を開始したが、両下肢痙縮による歩行障害が進行したため、intrathecal baclofen(ITB)療法導入の目的で当科受診となった。徒手筋力テストの低下、両下肢の腱反射の亢進を認め、Ashworth scaleの評価では、両股関節屈曲・外転・両膝関節屈曲・両足関節背屈の平均値が2.6と高値であった。機能的自立度評価法(FIM)運動項目は91点中83点と低下していた。バクロフェンによる下肢痙縮の改善を確認した後、Synchromed II Pumpを埋め込み、ITB療法を開始した。バクロフェンを25μg/日から開始し、下肢の痙縮の程度により投与量を調節した。投与後12ヵ月で75μg/日に増量すると膝崩れを自覚し、60μg/日に減量したが歩行時の右足内反や下肢挙上時の両側大腿後面の緊張が残存したため、ボツリヌス療法を併用した。その結果、ITB療法開始後19ヵ月後に下肢Ashworth scoreは平均1.1に低下し、股関節の前遊脚期の最大伸展角度の増大、膝関節の立脚初期の衝撃吸収作用、遊脚初期の最大屈曲角度の増大、足関節の全遊脚期の最大底屈角度の増大を認め、歩容も改善した。手すりなしでの階段昇降も可能となり、FIM運動項目は満点となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015