特集 わかればみえる! 脊椎手術術野へのアプローチ
特集にあたって
筑田 博隆
1
1群馬大学整形外科
pp.693
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202174
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物をみつけるとき,大切なことは,どこに何があるのかを知っていることです.たとえば,満天の星空を見上げたとき,星座についての知識があれば,すぐに夏の大三角形を見つけられるでしょう.夜空に目が慣れてくれば,次第に天の川も見えてきます.天の川を地平線の方にたどっていくと,今度は赤く光るさそり座のアンタレスが見つかります.脊椎手術においても,どこに何があるのかがわかっていれば,術野の中でさまざまなものが浮かび上がって見えてきます.「わかればみえる」というわけです.
複雑な脊椎手術を行うには,術野の中のさまざまな組織について,その走行,重なり,位置関係を十分に理解していることが重要です.しかし,通常の解剖アトラスを開いてみても,脊椎手術で必要な局所のディテールについては,わかりやすい解説がありません.本特集では,手術の際に必要となる局所解剖にフォーカスをあて,エキスパートの先生方に,実際の手術手技と対比しながら解説していただきました.脊椎周囲の血管の走行,横隔膜の付着部と胸膜の関係,硬膜の膜構造といった実践的なポイントを,シェーマをふんだんに用い,わかりやすく図示しています.「これを読めば,術野をみたときの解像度があがる」—そんな特集号になったのではと思います.手術の前に本誌を開き,複雑な手術を行う際の「道しるべ」として活用していただければ幸いです.
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