開胸手術の術後管理—髄液漏管理を中心に

Management of Subarachnoid-Pleural Fistula Following Anterior Transthoracic Approach for Thoracic Spinal Lesions

はじめに

　脊椎手術における硬膜損傷は0.5〜18％に発生するといわれ，日本脊椎脊髄病学会による報告では，手術合併症の中では最も多い2.1％に発生したと報告されている^9,15）．開胸による胸椎手術に伴う髄液漏は，胸腔内が陰圧ゆえ，通常の髄液漏管理よりも難渋することが多く，その管理方法についてはあまり知られていない．われわれは，胸椎後縦靭帯骨化症（ossification of posterior longitudinal ligament of the thoracic spine：T-OPLL）に対し，開胸による前方アプローチを採用しており^11,17,18），骨化した硬膜を完全切除した際の術後髄液漏管理に苦労してきた．本稿では，胸腔ドレーンや腰椎ドレーンの一般的な管理方法について概説するとともに，われわれがこれまで経験した開胸による前方アプローチに関連する髄液漏の管理について言及する．