Japanese
English
特集 脊椎外科最近の進歩(第25回日本脊椎外科学会より)
術後髄液漏の自然経過
Natural Course of Postoperative Cerebrospinal Fluid Fistula
大谷 和之
1
,
中井 修
1
,
黒佐 義郎
1
,
進藤 重雄
1
,
安部 理寛
1
,
北原 建彰
1
,
山浦 伊裟吉
1
Kazuyuki Otani
1
1九段坂病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Kudanzaka Hospital
キーワード:
cerebrospinal fluid fistula
,
髄液漏
,
complication
,
合併症
,
natural course
,
自然経過
Keyword:
cerebrospinal fluid fistula
,
髄液漏
,
complication
,
合併症
,
natural course
,
自然経過
pp.413-418
発行日 1997年4月25日
Published Date 1997/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902148
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抄録:脊椎手術後の髄液漏の自然経過を明らかにする目的で,術後7日以上漏出が続いた14例,偽性髄膜瘤を形成した9例,胸腔内に髄液が貯留した8例の合計31例を調査した.発生率は脊椎手術1408例中2.2%で,平均漏出日数は19.4日(7日~57日)であった.全例が硬膜修復やくも膜下ドレナージを要することなく治癒した.偽性髄膜瘤や胸腔内貯留も数カ月以内に自然吸収された.感染は2例あり,1例は髄膜炎,1例は表在感染であった.長期化する髄液漏はすべて頚胸部での発症例であり,腰仙部で7日以上漏出が続いた症例はなかった.前方手術後の髄液漏は後方のものと比べ早期に閉鎖し偽性髄膜瘤を形成する傾向があった.治癒過程において漏出部とクモ膜下腔との圧の差が大きな役割を果たすためと考えられる.術後髄液漏は自然治癒傾向があり特に処置を施さなくとも問題となることは少ないが,その病態と治癒機序を考慮し体位による治療を行えば漏出期間の短縮が可能であろう.
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