Japanese
English
特集 脊髄病変と排泄・性機能障害
圧迫性脊髄病変と排便障害—頸椎腰椎変性疾患の術前後評価を中心に
Impairment in Neurogenic Bowel and Bladder Dysfunction Following Posterior Decompression Surgery for Spinal Degenerative Disease
兼松 龍
1
,
高橋 敏行
1
,
島内 寛也
1,2
,
南 学
1
,
宮坂 和弘
1
,
塩見 晃司
1
,
上野 学
3
,
花北 順哉
1
Ryo KANEMATSU
1
,
Toshiyuki TAKAHASHI
1
,
Hiroya SHIMAUCHI-OHTAKI
1,2
,
Manabu MINAMI
1
,
Kazuhiro MIYASAKA
1
,
Koji SHIOMI
1
,
Manabu UENO
3
,
Junya HANAKITA
1
1藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治療センター
2群馬大学脳神経外科
3藤枝平成記念病院泌尿器科
1Department of Spinal Disorders Center, Fujieda Heisei Memorial Hospital
キーワード:
神経因性大腸機能障害
,
neurogenic bowel dysfunction
,
便秘スコア
,
constipation scoring system
,
脊椎変性疾患
,
spinal degenerative disease
Keyword:
神経因性大腸機能障害
,
neurogenic bowel dysfunction
,
便秘スコア
,
constipation scoring system
,
脊椎変性疾患
,
spinal degenerative disease
pp.241-245
発行日 2021年10月5日
Published Date 2021/10/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201613
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はじめに
非外傷性の頸髄症や馬尾症候群の臨床重症度評価において,排泄障害に主眼をおいた研究はいまだ不十分な状況にある.排尿機能については,日本整形外科学会による頸部脊椎症性脊髄症および腰部疾患の治療成績判定基準(JOAスコア)や頸部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)が包括しているが,脊椎変性疾患と排便障害については明らかにされておらず,評価項目の一部となっていないのが現状である.一方で,排泄障害が重症化しやすい脊髄損傷や二分脊椎においては,臨床評価がより重視されている2,4,11).特に排便障害については,神経因性大腸機能障害(neurogenic bowel dysfunction:NBD)と定義され,障害レベルによって,反射性大腸と弛緩性大腸に大別される13).NBDに伴う重度の排便障害は脊髄障害患者の全身機能やQOLに重大な影響を及ぼすことが知られており,脊髄損傷患者および二分脊椎患者を対象とした国内のウェブベース・アンケート調査では,それぞれ55%,51%が重度の大腸機能障害・排便障害を有していることが報告されている7).本稿では脊髄脊椎疾患と排便障害について,加齢変化に伴う圧迫性脊髄障害の評価法や術後成績の観点から考察を含め報告する.
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