腰椎変性疾患に対するLLIFの功罪

Pros and Cons of Lateral Lumbar Interbody Fusion for Degenerative Lumbar Disease

はじめに

　側方経路腰椎椎体間固定術（lateral lumbar interbody fusion：LLIF）は，側臥位にて専用のレトラクターと光源を用い，小展開ながらも十分な視野を得ながら側方から後腹膜腔経路に腰椎椎体間固定を行う手術方法である．経大腰筋的もしくは大腰筋前縁から椎間板側方に到達し，椎間板線維輪切離と椎体横径に及ぶ大型ケージ挿入により椎間高整復と椎体間固定を行う．広範囲な椎間板切除と骨母床の作成ができ，大型ケージにより椎体周囲の強い部分で支えるため，安定した椎体間固定が可能である．脊椎安定化に必要な靭帯組織（前・後縦靭帯，黄色靭帯，棘間靭帯など）を残したまま椎間高を整復することで靭帯を再緊張させ靭帯張力整復（ligamentotaxis）効果が得られ，冠状面および矢状面での矯正が可能である．LLIFの本邦への導入後，10年を経てあらためてLLIFが脊椎疾患治療にもたらした功績と罪過について，腰椎変性疾患を中心に考える．