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はじめに
超高齢社会にあるわが国において,腰痛は国民愁訴の最多を占め,その病態を正確に把握・解析することは,その正確な疫学・病態の理解に加え,今後の医療施策を効率化するためにきわめて重要である.しかしながら,その病態および治療効果の判定や評価は患者の実状を捉えているだろうか.患者の病態評価は医師主体のスコア(JOAスコア)から患者立脚型評価(Japanese Orthopaedic Association Back Pain Evaluation Questionnaire:JOABPEQ)が主流となって久しいものの,根本的にはこのようなアンケート形式の評価法では患者の正確な日常生活量のすべてを評価することは困難であり限界があることは想像に難くない.すなわち,このような評価方法が病勢・病態を完全に反映しているとはいいがたいことから,現状で腰椎疾患患者の状態や治療効果の評価に用いられている患者立脚型アウトカム評価では患者の実際の客観的データ収集が困難であることが最大の課題であり限界である.すなわち,これらとは異なるアプローチでの患者の状態把握が重要である.
われわれはこの課題に対する解決策の1つとして,患者が装用し歩行,臥位や運動量,バイタル変化など患者の日常生活動作を客観的に収集蓄積できるウエアラブル端末装置の応用に着目した.これらの端末は,従来のアンケート式の手法では収集がほぼ不可能な日常生活量データの記録・蓄積が可能であり,その解析に基づいた腰痛評価によってこれまでは得られなかった客観的な知見の導出が期待される.ここでは,われわれがウエアラブル端末を用いて行った腰痛患者における活動量評価解析について概説する.なお,本研究は日本整形外科学会プロジェクト研究事業の支援を受け,2016年度から2019年度にかけ実施された(#2016-1)8).
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