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特集 医工連携と腰痛
心理的要因と腰痛—運動制御の観点から
Psychological Factors and Low Back Pain: Perspectives from Motor Control Theory
加藤 欽志
1
,
紺野 愼一
1
Kinshi KATO
1
,
Shin-ichi KONNO
1
1福島県立医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University School of Medicine
キーワード:
心理的要因
,
psychosocial factors
,
腰痛
,
low back pain
,
運動制御
,
motor control
Keyword:
心理的要因
,
psychosocial factors
,
腰痛
,
low back pain
,
運動制御
,
motor control
pp.343-346
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201852
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はじめに
腰痛の増悪と遷延化には早期から心理的要因が深く関与している7).特に成人の慢性腰痛患者では,恐怖回避思考や破局的思考などの心理的要因が疼痛対処行動に影響する(図 1)22,26,28).人は,痛みがあるとき(あるいは痛みが予測されるとき),痛みを悪化させる動作を避けようと運動制御に影響を受ける11).腰痛患者における運動制御の変化は,筋活動のわずかな変化から過剰な回避行動まで幅広いレベルで認められる.また,慢性疼痛の患者では疼痛の緩和後も,運動制御の変化が定着・持続する場合がある13).近年,痛みが運動制御機構に与える影響に対する関心が高まっている10).運動制御機構の研究は,医学のみならず,神経科学,生体工学,運動科学,心理学,およびロボット工学など多数の分野を横断した学術連携が基盤となっている.
本稿では,腰痛における心理的要因の関与について,運動制御機構の視点から概説する.
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