境界領域/知っておきたい
難治性疼痛に対する脊髄硬膜外刺激電極療法
大鳥 精司
1
,
志賀 康浩
1
,
折田 純久
1
,
江口 和
1
,
稲毛 一秀
1
,
佐藤 淳
1
,
金元 洋人
1
,
山内 かづ代
1
,
鈴木 都
1
,
藤本 和輝
1
,
阿部 幸喜
1
,
青木 保親
1
,
高橋 和久
1
Seiji OHTORI
1
,
Yasuhiro SHIGA
1
,
Sumihisa ORITA
1
,
Yawara EGUCHI
1
,
Kazuhide INAGE
1
,
Jun SATO
1
,
Hirohito KANAMOTO
1
,
Kazuyo YAMAUCHI
1
,
Miyako SUZUKI
1
,
Kazuki FUJIMOTO
1
,
Koki ABE
1
,
Yasuchika AOKI
1
,
Kazuhisa TAKAHASHI
1
1千葉大学大学院医学研究院整形外科学
pp.376-379
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200518
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治療の歴史
脊髄硬膜外刺激電極療法(spinal cord stimulation:SCS)は,脊髄後索に微弱な電流を流し,電気刺激によって疼痛の緩和を図る治療法である.1965年にMelzackら1)により提唱されたゲートコントロール理論を基盤として,1967年にShealyら2)が世界で初めてのSCSの報告を行った.その後,SCSは侵害受容性疼痛への有効性が低いことからゲートコントロール理論のみでは説明がつかないとされ,現在では,抑制性の神経細胞の活性化で起こるGABAの放出増強および興奮性伝達物質の減少3−5)や,SCSの上行性の信号による下行性抑制路の賦活化6,7)がSCSの除痛機序として考えられている.本邦では1992年に保険適用が認められ,当初はペインクリニック領域を中心に使用されてきた.近年ではデバイスの進歩が目覚ましく,刺激電極の多極化や刺激設定方法の改良によってSCSの治療効果が向上している.また従来のデバイスは植込み後にMRIが撮像できなくなる欠点があったが,全身MRI対応機種の開発により整形外科医にとってもSCSを使用しやすくなった.さらに装置に内蔵された体動センサーによる姿勢変動時の刺激の自動調整機能や,それに付随する患者のADL(起きている時間,寝ている時間などの体位変化)の測定機能によって,管理の利便性も向上した.
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