Japanese
English
特集 脊椎脊髄疾患の再手術症例における手術のコツと留意点
腰部脊柱管狭窄症における再手術
Revision Surgery in Lumbar Canal Stenosis
乾 敏彦
1
,
富永 良子
1
,
富永 紳介
1
Toshihiko INUI
1
,
Yoshiko TOMINAGA
1
,
Shinsuke TOMINAGA
1
1富永病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tominaga Hospital
キーワード:
腰部脊柱管狭窄症
,
lumbar canal stenosis
,
再手術
,
revision surgery
,
偶発的硬膜切開・切除
,
incidental durotomy
Keyword:
腰部脊柱管狭窄症
,
lumbar canal stenosis
,
再手術
,
revision surgery
,
偶発的硬膜切開・切除
,
incidental durotomy
pp.911-919
発行日 2022年3月31日
Published Date 2022/3/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201769
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
腰部脊柱管狭窄症(lumbar canal stenosis:LCS)における初回術後の再手術率は文献により異なるが,無視できない高頻度である.Hansrajら6)は6%/4年,Atlasら1)は23%/10年,Kimら10)は14.2%/5年,World Federation of Neurosurgical Societies(WFNS)Spine Committee Recommendations4)では約10%/5年としている.後方除圧単独群と固定術併用群の再手術率の比較では,統計学的10),臨床的11)に,有意差はないとされる.
再手術は初回手術と比較して,病態の正確な理解と技術的難易度が一般的に高く,手術成績が劣り5),さらなる再手術につながる危険因子となる.多数回手術例は,その回数が増えるほど手術成績も劣り12),患者はもとより医師にも多大なストレスを与え,医療経済的にも避けるべきであることは論を俟たない.一方,詳細な術前評価に基づく適切な術前診断,患者選択および手術手技は,再手術率の低下に有用だが,退行変性が避けられない変性疾患であるLCSでは,自然経過による進行・増悪が起こり得るため,再手術の潜在的リスクを甘受する必要がある.
本稿ではLCSにおける再手術について,安全性を高め,良好な術後成績を得るために,外科的治療の基本であり最も頻用される後方除圧手技のコツと留意点に焦点を当て述べる.
Copyright © 2022, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.