特集 脊椎脊髄疾患の再手術症例における手術のコツと留意点
特集にあたって
飛驒 一利
1
1札幌麻生脳神経外科病院
pp.895
発行日 2022年3月31日
Published Date 2022/3/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201764
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さまざまな脊椎脊髄疾患の外科治療の中で,困難な手術はいろいろとあるが,その中で再手術はどんな脊椎脊髄疾患でもきわめて難しい.再手術では初回手術とは異なり,正常の解剖構造が失われ,術中のオリエンテーションがつきづらい.たとえMRIでは単純な腰椎椎間板ヘルニアと思われても,以前にその部位で脊柱管拡大術をしていたり,あるいは再発ヘルニアであったりした場合には,肉芽腫の中で硬膜を同定し,圧迫された神経根の同定,そのうえでヘルニアの摘出が必要となり,初回手術の何倍も大変といえる.また,脊髄腫瘍の再発などでは脊髄と腫瘍,さらに肉芽・gliosisとの識別と剝離操作が問題となる.
再手術における合併症の可能性は,いうまでもなく初回手術よりは高くなる.手術操作においては,正常の骨構造,硬膜などを確認したうえで,脊髄,神経根,ときに椎骨動脈などのvital organの同定,剝離が必要となる.いずれにしても手術の最終責任は最後の執刀者が負うことになることは覚悟しなくてはならない.その意味では,初回手術を徹底することが何より大事だと考えている.
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