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はじめに
高度脊柱変形による体幹バランス不良は立位保持や直立歩行を困難にし,耐え難い腰背部痛や胃食道逆流症などを引き起こし,高齢者の健康関連QOLの低下をもたらす13).変形矯正手術で良好な成績を得るためには側弯矯正よりも腰椎の前弯形成が重要であり5),Schwabらによりpelvic incidence−lumbar lordosis(PI−LL)<10度の矯正指標が示された14).旧来式の後方椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion:PLIF)による前弯形成では不十分であり2),十分な前弯形成を得る方法として椎体骨切り術(pedicle subtraction osteotomy:PSO)が普及したが3),その手術侵襲の大きさから,側方椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion:LLIF)の導入が進行した4).
われわれは成人脊柱変形の矯正手術が手探りであった1998年から,可撓性の少ない高度の後側弯変形に対して,後方・前方・後方三段階矯正固定術(dorsal ventral dorsal correction:DVD法)を採用し,術式に改良を加えながら現在まで施行してきた8,10,11).本法はHarmsら6)により提唱された方法で,狭小化した椎間板高を復元して腰椎の前弯を再獲得する方法である.椎間関節を切除して後方をリリース後に,前方から前縦靭帯(anterior longitudinal ligament:ALL)を切離して椎間板高を開大して前方固定を行い,最後に後方短縮を行ってインストゥルメンテーションを完成させる方法であるが(図 1),数ある椎間板高位での矯正法の中で,理論的に最大の前弯形成が可能な術式である.
本稿ではDVD法の術後10年以上の手術成績を調査して,その有用性と問題点を明らかにし,低侵襲の椎体間固定であるLLIFが普及した現在におけるDVD法の適応について検討する.
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