Japanese
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特集 脊髄炎—診断プロセスと知っておきたいトピックス
脊髄炎の多様性と診断のポイント
Diversity of Myelitis: The Point of Its Diagnosis
福武 敏夫
1
Toshio FUKUTAKE
1
1亀田メディカルセンター脳神経内科
1Department of Neurology, Kameda Medical Center
キーワード:
急性横断性脊髄炎
,
acute transverse myelitis
,
急性弛緩性脊髄炎
,
acute flaccid myelitis
,
上行性脊髄炎
,
ascending myelitis
Keyword:
急性横断性脊髄炎
,
acute transverse myelitis
,
急性弛緩性脊髄炎
,
acute flaccid myelitis
,
上行性脊髄炎
,
ascending myelitis
pp.282-290
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201625
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はじめに
脊髄障害が明確な診断や治療方針もないままに急速に進行するような場合,脊髄症(myelopathy)としての徹底的な精査が必要であるが,脊髄症には多様な病態生理学的機序があり得るので,正確な診断はとても難題である30).すなわち,機序として,炎症性〔多発性硬化症(MS),視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMOSD),神経サルコイドーシス,急性播種性脳脊髄炎(ADEM)など〕,感染性,圧迫性,新生生物性,血管性,栄養性などが含まれる1)(後述の表 2a,bを参照).脊髄炎はかつてこれらのほとんどを指す用語であったが,現在ではMSを除く炎症性疾患と感染性疾患に用いられている.脊髄症の画像主体の鑑別診断には柳下28)やKranz & Amrhein15)が,脊髄症のchameleonsとmimicsについてはGinsberg10)が,脊髄炎全般に関してはRopperら25)やLopez Chiriboga & Flanagan16)が,そして脊髄症の実践的な鑑別の進め方についてはMarianoら17)や本特集の安藤哲朗論文がそれぞれ参考になる.
以下では,まず脊髄炎(myelitis)に関する用語について解説し,その後に特徴的な病型について解説することで,脊髄炎の多様性の理解に供したい.なお,本稿全般にわたって,自著5,7)や最近,脳神経外科学の教科書に執筆したもの9)を参考にした.
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