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はじめに
脊髄脊椎疾患において,神経因性膀胱は主要な症状の1つである.しかし,尿閉や失禁などの重症の神経因性膀胱は認識されやすいものの,中等度から軽度の神経因性膀胱については,脊髄脊椎外科医や泌尿器科医,そして患者の関心が高くなく,その実態が明らかになっているとは言い難い.また,神経因性膀胱には,本特集の他項に記載されているように,排尿に関わる症状のみならず,排便障害や性機能障害も含まれており,さまざまな検討が行われている.
脊椎変性疾患による神経因性膀胱についても,さまざまな面から検討された報告が散見されている3,6,8,9,14〜16,19,23,24).しかし,泌尿器系疾患の併存が記載されていない報告や,下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)と下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction:LUTD)が混在している報告もあり,脊椎変性疾患による神経因性膀胱には不明な点も多い.
本稿では,腰椎変性疾患における神経因性膀胱に注目し,特に,中等度から軽度のLUTSと過活動膀胱(overactive bladder:OAB)の,①術前に認められる割合と,②手術による改善程度について,自験例を供覧して概説する.症例は,2011年から2013年にかけて,藤枝平成記念病院脊髄脊椎疾患治療センターで加療した初回の腰椎変性疾患手術387例(平均年齢62.3歳,男性244例/女性143例)であり,診断は,腰椎椎間板ヘルニアが151例,腰部脊柱管狭窄症が155例,腰椎すべり症が81例で,固定術を併用した手術は90/387例(23%)である.
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