Japanese
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特集 椎骨動脈のすべて
Bow hunter's stroke
Bow Hunter's Stroke
中瀬 裕之
1
,
竹島 靖浩
1
Hiroyuki NAKASE
1
,
Yasuhiro TAKESHIMA
1
1奈良県立医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nara Medical University School of Medicine
キーワード:
ボーハンターストローク
,
bow hunter's stroke
,
頭位性閉塞
,
positional occlusion
,
椎骨動脈
,
vertebral artery
Keyword:
ボーハンターストローク
,
bow hunter's stroke
,
頭位性閉塞
,
positional occlusion
,
椎骨動脈
,
vertebral artery
pp.621-625
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201160
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はじめに
頸椎には前後屈,回旋,側屈の6方向への基本運動があり,脊椎で最大の可動域を有している.一方,頭蓋外椎骨動脈は頸椎を貫通しながら走行するので頸椎の動的影響を受ける.Bow-hunter's stroke(BHS)は,頭位を回転させることにより椎骨動脈が環軸椎レベルで血流障害をきたし,椎骨脳底動脈循環不全に陥るものである(Sorensen,1978)4).BHSとは狩人が弓矢を引くときに脳梗塞を呈するという意味であり,頭部回旋により椎骨動脈が環軸椎高位で閉塞することが示されたため,BHSは血行力学的脳虚血であると理解しがちであるが(狭義のBHS),Sorensenらもその報告の中で頭部回旋により生じた脳幹梗塞の原因を“vertebral artery(VA)injury and spasm”と考察しており,実際は脳塞栓をも呈し得る病態である.つまり,BHSの発生機序としては,①椎骨脳底動脈系の血流低下の場合(hemodynamic stroke)と②局所の動脈内血栓形成による塞栓症(embolic stroke)の2つが存在する.
本稿では,BHSの疾患定義,基礎疾患,病態,症状や診断,治療法について,われわれの考え方を述べる.
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