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特集 上位頸椎疾患に対するアプローチ—病態・診断・治療
環軸椎回旋位固定/後頭骨環軸椎回旋位固定
Atlantoaxial Rotatory Fixation/Occipitoatlantoaxial Rotatory Fixation
柏井 将文
1
,
岩﨑 幹季
2
Masafumi KASHII
1
,
Motoki IWASAKI
2
1市立豊中病院整形外科
2大阪労災病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Toyonaka Municipal Hospital
キーワード:
環軸椎回旋位固定
,
atlantoaxial rotatory fixation
,
後頭骨環軸椎回旋位固定
,
occipitoatlantoaxial rotatory fixation
,
椎間関節変形
,
facet deformity
Keyword:
環軸椎回旋位固定
,
atlantoaxial rotatory fixation
,
後頭骨環軸椎回旋位固定
,
occipitoatlantoaxial rotatory fixation
,
椎間関節変形
,
facet deformity
pp.201-207
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201072
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はじめに
環軸椎回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation:AARF)は,環軸関節(C1-2関節)が回旋変形した位置で固定され,有痛性斜頸を呈する疾患である.好発年齢は幼児期〜学童期であり,軽微な外傷,上気道感染,歯科口腔外科や耳鼻咽喉科領域の手術などを契機に発症するが,誘因なく発症することもある.AARFは一般に消炎鎮痛剤投与,頸椎カラー固定,Glisson牽引などの保存治療が有効で,治療予後良好であることが多い.しかしながら,再発を繰り返す症例や通常の保存治療では整復不能な症例もある.これらに対しては,Ishiiらにより提唱されたリモデリング療法が第一に推奨される8,9,11).多くの難治症例もリモデリング療法で対応が可能となり,近年観血的治療を要することはまれである.これまで陳旧性AARFについては,主にC1-2関節の病態に焦点が絞られてきたが,筆者らは陳旧性AARF例において環椎後頭関節(Oc-C1関節)での代償性の回旋変形とそれに伴うOc-C1関節の関節変形がAARFの難治化要因であることを報告した10,13).すなわち,AARF例においてはOc-C1関節の状態も併せて評価する必要があり,Oc-C1関節病変を伴う場合には,後頭骨環軸椎回旋位固定(occipitoatlantoaxial rotatory fixation:OAARF)として治療方針を検討する必要がある.本稿では,AARFの鑑別診断,急性期および慢性期のAARFの治療,Oc-C1関節の病変を伴うOAARFの治療について概説する.
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