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手術適応
側方経路腰椎椎体間固定術(lateral interbody fusion:LIF)は専用のレトラクターと光源を用い,小展開ながらも十分な視野を得ながら後腹膜腔経路に腰椎椎体間固定を行う.基本的には前方手術であるため,前方からの広範囲な椎間板の切除と確実な椎体終板骨母床の作成が可能なうえ,両側の側方線維輪切離と椎体横径に及ぶ大型ケージ挿入により効果的な椎間高整復が可能である.椎体周囲の強度の強い部分で椎体間を支えることで安定した椎体間固定とより確実な骨癒合が期待される.また,側方線維輪は切離するものの,本来脊椎が安定化のために必要な靭帯組織(前・後縦靭帯,黄色靭帯,棘間靭帯など)を残したまま椎間高を整復するため,これらの靭帯が再緊張することによりなされる靭帯張力整復(ligamentotaxis)効果が得られる.この靭帯張力整復により間接除圧,冠状面および矢状面での強力な整復が可能となり,きわめて有効な矯正手技の1つである.椎間変性により脊柱管狭窄と不安定性や変形が生じている病態,つまり変性すべりや変性側弯に対しては理にかなった治療法といえる.その適応は通常の変性疾患だけでなく,再手術例,成人脊柱変形,脊椎外傷や胸椎椎間板ヘルニアなどにも徐々に広がってきている.
また,LIF機器を用いた側方アプローチ椎体再建では,椎体自体に病態がある症例にも適応が広がり,椎体横径に及ぶエンドプレートをもつ伸延可能な椎体ケージにより安定した椎体再建が可能である.さらに,前縦靭帯を切離して20度あるいは30度の前弯のついたLIFケージを挿入し,椎体スクリューで固定する方法も登場し,通常のLIFよりも椎間前弯を大きく獲得することができ,矢状面バランス不良を伴う成人脊柱変形に対して,効果的な腰椎前弯獲得と矢状面バランスの改善が期待できることも報告されている.LIFをはじめとする側方アプローチ手術は,適応となる疾患を有する患者には有益な治療方法となり,今後もその適応は広がる可能性が高い.
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