特集 脊髄再生
特集にあたって
中村 雅也
1
1慶應義塾大学整形外科
pp.539
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200890
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これまで不可能と考えられてきた脊髄再生が,神経科学の進歩により現実味を帯びてきています.事実,薬剤や細胞を用いた臨床研究や治験がすでに開始されており,さらに新規の治療法も続くことが期待されています.本特集では,脊髄損傷の病態や治療法に関する新たな知見をまとめ,今後の脊髄損傷に対する再生医療の治療戦略を再考する機会となればと思い企画させていただきました.
まず,急性〜亜急性期脊髄損傷への治療戦略として,筑波大学の國府田先生に顆粒球コロニー刺激因子,済生会横浜市東部病院の北村先生には肝細胞増殖因子に関する基礎研究と臨床試験の現状について記載していただきました.いずれもステロイドに替わる新たな急性期治療薬として期待されている薬剤であり,今後の結果が楽しみです.細胞移植については,札幌医科大学の森田先生に骨髄間葉系幹細胞移植に関する基礎研究と臨床試験の現状を,また慶應義塾大学の名越先生にはiPS細胞由来神経幹細胞移植の基礎研究と臨床試験を間近に控えた現状について記載していただきました.いずれも日本が世界を牽引するプロジェクトであり,臨床試験の結果が近い将来に世界に向けて発信されることを期待しています.
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