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特集 脊髄再生
急性脊髄損傷に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)神経保護療法—医師主導治験(G-CSF-mediated SPinal cord Injury Recovery Induction Trial:G-SPIRIT試験)
Granulocyte Colony-Stimulating Factor-mediated Neuroprotective Treatment for Acute Spinal Cord Injury:A Phase 3 Clinical Trial(G-CSF-mediated SPinal cord Injury Recovery Induction Trial:G-SPIRIT study)
國府田 正雄
1,2
,
大鳥 精司
1,3
,
山崎 正志
1,2
,
花岡 英紀
1,4
,
G-SPIRIT研究グループ
1
Masao KODA
1,2
,
Seiji OHTORI
1,3
,
Masashi YAMAZAKI
1,2
,
Hideki HANAOKA
1,4
,
G-SPIRIT Study Group
1
1G-SPIRIT研究グループ
2筑波大学医学医療系整形外科
3千葉大学大学院医学研究院整形外科
4千葉大学医学部附属病院臨床試験部
1G-SPIRIT Study Group
キーワード:
脊椎損傷
,
spinal cord injury
,
顆粒球コロニー刺激因子
,
G-CSF
,
臨床試験
,
clinical trial
Keyword:
脊椎損傷
,
spinal cord injury
,
顆粒球コロニー刺激因子
,
G-CSF
,
臨床試験
,
clinical trial
pp.540-544
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200891
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背 景
脊髄損傷には概念的に,外力による一次損傷,および一次損傷が引き金となって起こる生物学的反応により損傷範囲が拡大する二次損傷があるとされている.われわれが臨床の現場で目にする患者さんの麻痺は,この両者の総計である.一次損傷は外傷による脊髄の物理的損傷なので,治療の余地は基本的にはないものと考えられ,対処法は予防のみである.一方,二次損傷には,出血,浮腫,虚血,神経伝達物質漏出による興奮毒性,フリーラジカル発生,炎症性サイトカイン過剰発現,炎症細胞浸潤などの関与が知られている9).二次損傷によって一次損傷で障害された部位にとどまらず障害が周辺へと拡大していくため,急性期の介入により二次損傷を抑制することで障害範囲拡大を防止し予後の改善を目指す,いわゆる「神経保護療法(neuroprotection)」が急性期薬物療法の柱とされる4).
コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムエステル(MPSS)は現在本邦で唯一保険適応となっている脊髄損傷治療薬であり,神経保護作用があるとされる.しかし,脊髄損傷へのMPSS使用に関しては近年,治療効果への疑問・副作用の点から否定的な見解が増えている.2013年版米国神経外科学会脊髄損傷治療ガイドラインに「脊髄損傷にステロイドは推奨されない」と明記され1),必ずしも推奨できる薬物とはいえない状況になっており,脊髄損傷急性期に対する新たな神経保護薬開発が切望されている.
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