Japanese
English
特集 Neuralgic amyotrophyとは
NAの症候と診断
The Clinical Diagnosis of Neuralgic Amyotrophy
竹下 幸男
1
,
神田 隆
1
Yukio TAKESHITA
1
,
Takashi KANDA
1
1山口大学大学院医学系研究科神経内科学
1Department of Neurology and Clinical Neuroscience, Yamaguchi University Graduate School of Medicine
キーワード:
多発性単神経炎
,
multiple mononeuropathy
,
Parsonage-Turner症候群
,
Parsonage-Turner syndrome
,
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
Keyword:
多発性単神経炎
,
multiple mononeuropathy
,
Parsonage-Turner症候群
,
Parsonage-Turner syndrome
,
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
pp.479-483
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200874
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はじめに
神経痛性筋萎縮症(neuralgic amyotrophy:NA)は,かつては腕神経叢炎と呼ばれ,腕神経叢の障害と考えられてきたが,最近では腕神経叢よりも広範な神経障害を呈し,腕神経叢部への機械的負荷をトリガーとした免疫学的,遺伝的要因などの複数の因子による病態が想定されている.NAでは肩甲上神経,腋窩神経,筋皮神経,長胸神経,橈骨神経などが障害されるが,必ずしも腕神経叢に限局した病変ではなく,これらの神経がさまざまな組み合わせで複数障害される.NAの診断には,特徴的な疼痛の既往があり,臨床的に多発性単神経障害の分布をとるかを捉えることが診断の鍵であり,神経診察と電気生理学的検査で,単純な神経根や頸髄病変,腕神経叢障害では説明できないことを示すことが必要となる.NA患者の多くが最初に整形外科を受診するが,本疾患の多発性単神経障害を想定しないまま,不十分な神経診察を行うと,症状が類似した頸椎・肩関節疾患と誤診し,早期の診断・治療の機会を逸することになる.NAは通常の画像検査や血液検査では異常を検出できず,適切な神経診察,解剖学的診断,電気生理学的検査,臨床経過の聴取ができて初めて診断可能となる疾患で,整形外科や神経内科を問わず,担当医師の臨床能力が問われる疾患であるといえる.
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