Japanese
English
特集 脊椎脊髄〜末梢神経の局在診断update
手指の運動麻痺の局在診断—下垂指を中心に
Localization Diagnosis of Motor Paralysis in Hand and Fingers with Focus on Drop Fingers
田中 靖久
1
Yasuhisa TANAKA
1
1公立学校共済組合東北中央病院整形外科
1Department of Orthopaedic Sugery, Tohoku Central Hospital
キーワード:
頸部神経根症
,
cervical radiculopathy
,
T1神経根症
,
T1 radiculopathy
,
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
Keyword:
頸部神経根症
,
cervical radiculopathy
,
T1神経根症
,
T1 radiculopathy
,
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
pp.371-377
発行日 2022年1月31日
Published Date 2022/1/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201644
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はじめに
手指の運動麻痺は,神経根症あるいは脊髄症といった頸椎疾患や肘部管ないし手根管症候群に代表される絞扼性末梢神経障害など多岐にわたる疾患で引き起こされる.これらの中で,C8神経根症による下垂指(動画 1,2)は,重篤な麻痺にもかかわらず,その病態が着目されるようになったのはごく近年のことである12,13).そのためか,本症が十分に周知されているとはいまだいいがたい.そもそも筆者が頸部神経根症の研究に着手した1987年頃には,神経根症といえば,C5からC7までを指すものであり,C8神経根症は脊椎脊髄病の専門医でも眼中になかったといって過言ではない19).MRIの画像診断においても,横断像のスライスの高位はC7椎体までが一般的な決まりごとであった.C7-T1椎間は関心から外れていた.しかし,今日においてはC8神経根症による下垂指の症候学上の特徴が明らかになっている.その特徴を正しく理解できれば,手指の運動麻痺をめぐる鑑別診断の能力は格段に向上するものと考えられる.
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