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はじめに
新規の手術手技の導入に対しては,以下の2点を考慮する必要がある.1つは手術手技の難易度であり,これは専門家集団としての医療機関や関連学会が中心になって総合的に評価し判断しなければならない.特に,特定機能病院では高難度の医療技術を用いた医療を実施する際には,導入するためのプロセスを院内の委員会において定めることが義務づけられている.
もう1つは新規医療機器に関連しての企業や行政との関係である.医療機器は,人体へのリスクに応じて分類され,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法または薬機法)」により規制されている3).具体的には,手術で使用するメスやピンセットなど(一般医療機器)とMRI装置や超音波診断装置など(管理医療機器)は,人体へのリスクが低いと考えられるもの(クラスⅠおよびⅡ)に分類されている3).一方,人工関節や脊椎用インプラントは,不具合が生じた場合,人体へのリスクが比較的高いと考えられ,クラスⅢ:高度管理医療機器に分類される3).新規の手術手技として医療機器が関連する場合は,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)において品質,有効性・安全性などについて審査が行われてから承認される3).しかし,医薬品医療機器法の規制対象はあくまで製販業者(企業)であり,新規医療機器の適正使用に関しては臨床現場に委ねられているのが現状である.
日々新しい医療機器や革新的な技術が開発される昨今では,企業・行政(PMDA)・学会の三者が情報を共有して安全かつ適正な使用基準を策定していくことが重要であり,PMDAと学会側が新規医療機器の承認前に協議する機会が増している.ここでは,主に日本脊椎脊髄病学会の新技術評価検証委員会で実際に検討してきた新規技術の医療安全対策に関して記述する.
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